2023年9月にKen Yokoyamaのニューシングル「My One Wish」がリリースされた。
このシングルは全3曲の構成で、木村カエラさんとのカバーソング「Tomorrow」も収録されている。
さらに初回2CD盤にはextra discとしてスタジオライブの音源3曲が収録された追加CDも同封されている。シングルではあるが、初回盤は実質6曲というボリュームたっぷりの内容だ。
シングルの表題曲である「My One Wish」は、日本語にすると「私のたったひとつの願い」というシンプルでありながら横山健の深いメッセージが込められたタイトルだ。
「ロックンロールがない世界なら生まれ変わりたくない、また生まれ変わってもロックンロールに会わせてくれ」という、メッセージが込められている。
来年2024年にキャリア20年を迎えるKen Band。
ギター&ボーカルの横山健は今年54歳を迎えたベテランだ。近年の曲では死を意識した曲も増えてきた。
アルバム「4Wheels 9Lives」に収録された「While I’m Still Around」では、「いつ最後になるかわからないから、今のうちにありがとうを伝えさせてくれ」というメッセージを歌った。
新曲「My One Wish」では、さらに先の来世に向けての願いを歌うような想いが込められている。「また生まれ変わっても、やっぱり俺はロックンロールと恋したい」
伝説と言われたHi-STANDARDとして活躍し、ソロ名義のKen Yokoyamaでも約20年ロックンロールの現場の最前線を走り続けてきた彼だからこそ歌える曲だし、だからこそ視聴者である我々の心に深く刺さる1曲になっている。
曲がはじまった時のメロディはまさにKenサウンドといった印象を残してくれる。
全体的にアップテンポな曲でありながら、サビの部分はシンガロングさせるというより、思いを載せたメッセージを聞かせてくれる落ち着きが感じられる。
歌詞にのせたメッセージは、Ken Yokoyamaを追いかけてきたパンク・ロック好きの人たちへ、哀愁や強い共感を感じさせる内容になっている。
かつ、悲しい印象は感じさせず何度でも聴きたくなる優しいメロディーの仕上がりだ。
【和訳】オレをまた”オレ”として生きさせてくれ
「My One Wish」には2つのメッセージが込められている。
1つは「生まれ変わってももう一度ロックンロールに会いたい」という想い、そしてもう1つは「もう一度会いたいから、ロックンロールに生き残っててほしい」という想いだ。
Born once again(If I could be)
I wish fate will soon lead me to my guitar and
Born once again(If I could be)
I hope that rock’n’ roll will still be alive then
Let me live as “me” once ogainもしもう一度、生まれ変われるなら
My One Wish / Ken Yokoyama
運命よ、すぐにオレをギターに導いてくれ
もしもう一度、生まれ変われるなら
ロックンロールにまだ生きててほしい、そして
オレをまた”オレ”として生きさせてくれ
ロックンロールがあるから、オレは生まれ変わっても”オレ”として生きていけるんだ、そんなメッセージが個人的には鳥肌がたつほどの内容でした。
ライブが自粛されたり、音源がCDからストリーミングサービスに移り変わったり、音楽の受け取られ方は変わっていってる。エンタメ全体の成長や変化も激しく、90年代くらいと比べると、相対的にロックンロールが求められることは少なくなっているのかもしれない。
でも、そんな中でも、「俺はロックンロールとまた会いたい、だから生き残っててくれ」というメッセージが、この世界1本で戦ってきたKen Yokoyamaの曲に込められていっそう強く胸に刺さる曲だ。